東京都北区は、区内の中小企業者向けに独自の補助制度を設けています。国や東京都の補助金にくらべて金額は小さいものの、競争率が低く、手続も軽いのが特徴です。

当事務所は北区に所在し、区内の事業者様からのご相談を多くいただいています。このページでは、区の主な制度と、申請の前に知っておくべき注意点を整理します。

先に、3つの注意点をお伝えします

金額や要件よりも、まずここでつまずく方が多いためです。

① 多くの制度が、業種で限定されています

北区の制度の多くは、対象を「製造業、または情報通信業のうちソフトウェア業」に限っています。

飲食店、小売業、一般のサービス業は、対象外となる制度が少なくありません。「区の補助金を使いたい」とご相談いただいても、業種の時点で該当しないことがあります。

その場合でも、国の小規模事業者持続化補助金や東京都の創意工夫チャレンジ促進補助金は業種を問いません。また、隣接する足立区の制度は業種の幅が広く、事業所の所在地によっては選択肢が広がります。区で駄目でも、他に使える制度があります。

② 事前相談の予約が必須です

北区の制度は、申請書を出す前に産業振興課の窓口で事前相談を受けることが求められます。しかも予約制です。

新製品・新技術開発支援事業では、「事前に申請内容のご説明がなかった場合には、申請を受け付けることができません」と明記されています。書類だけ整えて持ち込んでも受け付けてもらえません。

予約は電話で行います。

北区産業振興課 商工係 03-5390-1235
(北とぴあ11階)

③ 予算枠に達すると、年度の途中でも締め切られます

ここが国の補助金といちばん違う点です。

国の補助金は締切日まで受け付けて、そのあと審査で採択を決めます。一方、区の制度は予算枠に達した時点で受付が終了します。つまり早い者勝ちの要素があります。

実際、複数の制度で「予約枠が満枠となったため、キャンセル待ちでの受付」という案内が出ています。年度初めに動けるかどうかで、使えるかどうかが決まります。

「来年度こそ使いたい」とお考えであれば、年度が替わる前から準備しておくのが現実的です。

北区の主な補助制度

金額・要件・受付状況は変わりますので、詳細は各制度の区の公式ページでご確認ください。下の表は、どれが自社に関係しそうかを見当づけるためのものです。

新製品・新技術開発支援事業 新規市場の開拓に向けた、新製品・新技術の研究開発 上限 300万円
産学連携研究開発支援事業 大学・公的研究機関等との共同研究開発、委託研究 上限 200万円
IT・IoT導入チャレンジ支援事業 労働生産性の向上のためのIT・IoT導入 上限 100万円
見本市等出展支援事業 国内外の見本市・展示会への出展費用 上限 25〜30万円
国内・海外で異なります
知的所有権活用支援事業 特許・実用新案など知的財産の新規取得費用 上限 10万円
依頼試験等補助事業 試験研究機関を利用する費用 上限 10万円

このほかにも、商店街向けの支援や融資のあっせんなど、区にはさまざまな制度があります。区の補助金・助成・融資のページもあわせてご覧ください。

共通する主な要件

制度によって異なりますが、おおむね次の点が共通しています。

  • 中小企業基本法に定める中小企業者であること
  • 区内に本社または主たる事業所があること(個人事業者は区内に事業主の住所があること)
  • 区内で引き続き1年以上事業を営んでいること
  • 法人都民税・特別区民税等を滞納していないこと

「1年以上」の要件があるため、創業直後は使えない制度が多いという点にご注意ください。創業期であれば、豊島区の開業支援コースや東京都の創業助成事業など、別の枠組みを検討することになります。

足立区・豊島区との違い

当事務所には、北区・足立区・豊島区の事業者様からご相談をいただきます。3区の制度には、はっきりした性格の違いがあります。

北区 製造業・ソフトウェア業が中心。研究開発や産学連携に手厚い(上限300万円など)。ただし業種の制約が大きく、創業1年未満は使えない制度が多い
足立区 業種の幅が広い。ホームページ、EC出店、ISO、知財など。制度の数も多い
豊島区 コース制。開業支援コースがあり、創業期にも使える。空き店舗の活用支援も

事業所の所在地によって、使える制度がまったく変わります。北区で該当するものがなくても、隣接区の事業者様であれば別の選択肢があります。

国・都の補助金との関係

よくいただく質問です。

同じ取組について、国・都・区から重ねて補助を受けることはできません。ただし、取組が別であれば、それぞれ申請すること自体は可能です。

金額の規模で考えると、次のような使い分けになります。

区の制度 10万〜300万円。手続が軽く、競争率も低い。ただし業種と時期の制約が大きい
都の制度 600万円前後。創意工夫チャレンジ促進補助金など。業種を問わない
国の制度 50万〜2,500万円。持続化補助金やものづくり系。全国が競争相手

まず区で使えるものがないかを見て、なければ都・国へ広げる。これが、区内事業者にとって効率のよい順序だと考えています。