創意工夫チャレンジ促進補助金(正式名称:経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業・業務改善コース)は、東京都中小企業振興公社が実施する助成金です。

助成率は3分の2、上限は600万円。都内の中小企業者・個人事業主が、これまで営んできた事業を「深化」または「発展」させる取組を支援します。

この制度の最大の特徴

募集要項の申請要件に、こう書かれています。

(3)申請受付開始日時点で下記ア・イのいずれかに該当すること。
ア 直近決算期の営業利益が、前期決算期と比較して減少していること
イ 直近決算期において損失を計上していること創意工夫チャレンジ促進事業(業務改善コース)令和8年度 募集要項

業績が下がっていることが、申請の要件です。

国の補助金の多くは、成長する企業を後押しする制度です。付加価値額を年3%伸ばす、賃金を年3.5%上げる——そうした約束を求められます。しかしこの制度は逆で、いま苦しい事業者が、立て直しのために設備や取組に投資することを支えます。

「業績が落ちているから補助金なんて無理だろう」と考えて、調べもしない事業者の方がいらっしゃいます。この制度に関しては、まったく逆です。

ものづくり補助金との違い

設備投資を考えている方から、よくいただく質問です。両者は性格がかなり違います。

創意工夫チャレンジものづくり補助金
業績の要件営業利益が減少、または損失計上付加価値額を年3.0%伸ばす計画が必要
設備の更新高性能な機器の導入による競争力強化は対象既存プロセスの改善だけでは対象外
賃上げ義務なしあり(未達なら返還)
上限額600万円750万〜3,000万円
助成率2/31/2(小規模は2/3)
対象地域東京都内に本店等があること全国

「今ある設備を高性能なものに入れ替えて、競争力を取り戻したい」——この動機は、ものづくり補助金では通りません。しかし創意工夫チャレンジでは、募集要項に取組例として明記されています。

金額の大きさだけで選ぶと、要件に合わずに徒労になります。どちらが適しているかの判断からご相談ください。

対象になる事業者

次の要件をすべて満たす必要があります(主なものを抜粋しています)。

① 都内の中小企業者であること

製造業、情報通信業、建設業、運輸業、その他資本金3億円以下 または 従業員300人以下
卸売業1億円以下 または 100人以下
サービス業5,000万円以下 または 100人以下
小売業5,000万円以下 または 50人以下
飲食業5,000万円以下 または 50人以下

株式会社・合同会社・合名会社・合資会社・有限会社および個人事業者が対象です。大企業が実質的に経営に参画していないことも要件になります。

② 都内に本店等があること

  • 法人:本店の登記が都内にあること(実施場所が都内であれば支店でも可)
  • 個人事業者:納税地が都内にあること

なお、実施場所が都外であっても、神奈川・埼玉・千葉・群馬・栃木・茨城・山梨であれば対象になり得ます。ただしその場合、都内に登記簿上の本店があることが必要です。

③ 業績が下がっていること

前述のとおり、直近決算期の営業利益が前期より減少しているか、損失を計上していることが要件です。

④ そのほかの主な要件

  • 賃上げ重点コース・新市場・新分野進出コースで交付決定を受けていない、申請中でないこと
  • 同一テーマ・内容で、国・都・区市町村等から助成を受けていないこと
  • 事業税等を滞納していないこと
  • 過去5年間に助成事業に関する不正等の事故を起こしていないこと

1事業者につき交付決定を受けられるのは1度だけです。不採択だった場合は、次回以降の募集で再申請できます。

どんな取組が対象か

既存事業の「深化」
事業自体の質を高める
・高性能な機器、設備の導入等による競争力強化
・既存の商品やサービスの品質向上
・高効率機器、省エネ機器の導入等による生産性の向上
既存事業の「発展」
既存事業を基に新たな展開を図る
・新たな商品、サービスの開発
・商品、サービスの新たな提供方法の導入
・既存事業で得た知見等に基づく新たな取組

対象にならないもの

  • 申請者が営んできた事業内容との関連性が薄い、または全くない取組
  • 法令改正への対応など、義務的な取組
  • 単なる老朽設備の維持更新など、競争力や生産性の向上に寄与しない取組

3つ目にご注意ください。「古くなったから同じものに買い替える」は通りません。入れ替えによって競争力や生産性がどう上がるのかを説明できることが必要です。同じ設備投資でも、書き方ではなく組み立て方で結果が変わる部分です。

面接審査があります

この制度には、書類審査に加えて面接審査があります。1時間程度、専門家が直接質問します。

国の補助金は書類だけで完結するものがほとんどですので、ここは大きな違いです。書類が通っても、面接で答えられなければ採択されません。

逆に言えば、事業者ご自身が自分の言葉で語れる計画になっているかが問われます。誰かが代わりに作った、中身を理解していない計画書では、面接で必ず露見します。

当事務所では、計画をお作りする過程そのものを、面接の準備と位置づけています。社長の言葉を計画に落とし込むという順序で進めますので、面接で語る内容は、すでにご自身のものになっているはずです。

つまずきやすい点

募集要項に「助成対象外となる頻出例」として挙げられているものです。

  • 交付決定を受ける前に、発注・契約をしてしまった
  • 発注の遅れなどにより、納品日が助成対象期間を超えた
  • クレジットカードで支払ったが、銀行口座からの引き落とし日が助成対象期間を超えた

とくに1つ目は、取り返しがつきません。交付決定の前に発注してしまうと、その経費は一切対象外になります。「採択されそうだから先に発注しておこう」は禁物です。

助成対象期間は交付決定日から1年間で、この期間内に契約・実施・支払のすべてが完了している必要があります。

助成額とスケジュール

助成率助成対象経費の 2/3以内
助成限度額600万円(千円未満切捨て)
助成対象期間交付決定日から最大1年間

令和8年度第1回は、申請受付が5月、書類審査が7月から、面接審査が8月、交付決定が9月下旬の予定という流れでした。申請から交付決定まで約4か月かかります。

令和8年度第1回の受付は終了しています。次回募集の見込みも含めて、ご相談いただければお調べします。申請にはGビズIDが必要ですので、お持ちでない場合は取得から準備が必要です。

当事務所の支援内容

申請書類の作成を行政書士として適法に受任し、その中核となる計画を中小企業診断士として策定します。あわせて、面接審査に向けた整理までお手伝いします。

費用は着手金と成功報酬の二本立てです。申請額600万円の場合、着手金15万円+成功報酬45万円の合計60万円が目安になります。

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よくあるご質問

赤字なのですが、申請できますか

むしろ要件に該当します。直近決算期で損失を計上しているか、営業利益が前期より減少していることが申請要件です。

個人事業主でも使えますか

使えます。納税地が都内にあることが要件です。

古くなった機械の買い替えに使えますか

単なる維持更新は対象外です。ただし、高性能な機器への入れ替えによって競争力や生産性が向上するのであれば、対象になり得ます。この線引きの判断からご相談ください。

ものづくり補助金と両方申請できますか

同一テーマ・内容で複数から助成を受けることはできません。取組の内容ごとに、どの制度が適しているかを整理する必要があります。

面接が不安です

ご自身の事業についてお話しいただくものですので、必要以上に構える必要はありません。当事務所では、計画を作る過程で社長のお考えを整理していきますので、その延長でお答えいただける形になります。


初回のご相談は無料です。原則2営業日以内にメールでご返信します。

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出典

  • 経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業(業務改善コース)令和8年度第1回 助成金募集要項(東京都中小企業振興公社)